実は印刷関連のデザイン系は未経験の方も多く就職しています。スタートは皆ほぼ同じだったりします。実際の仕事はどのようなものを作るのか、実践経験をしながら成長するポイントを紹介します。
デザイン系の仕事は奥が深いですが、作業内容の大部分を占めるのはソフトウェアの操作です。まずはここを覚えていくことで未経験の方も立派なデザイン制作スタッフとなります。
難しく考えずにチャレンジする気持ちで行きましょう。
誰でも最初は未経験!デザインのお仕事内容とは!?
未経験でも総合印刷のデザインで仕事を通してスキルアップ!
仕事を通じてスキルアップが楽しいと感じるのは、お客様に喜んでいただける事です。
最初の仕事は、印刷会社のデザイン部門立ち上げを行う事でした。学校卒業したての私にはデザインの知識は、プロの方と比べると貧弱ではありましたが、仕事をしていくことで何社か私の制作したデザインに反応があり、今でも仕事が受注できている先もあります。
一例ではありますが、建築会社のDM用封筒のデザインで、年に4回必ずイベントを行なっており、一般顧客用に展示会のご案内をするものです。これは、封筒ではありますが展示会へ集客する為の大切なデザインの仕事です。
印刷関連のデザインと言うとイメージ的にチラシ広告デザインを想像されるかもしれませんが、デザイン系の仕事でも私は総合印刷、印刷物ならなんでも制作するお仕事をしています。
デザイン系の仕事は印刷関連の仕事もあれば、建築デザイナー、インリアデザイナー、空間デザイナー等、現在では色々なシーンでデザイナーは必要とされています。
比較的未経験であっても、仕事ができるようになるのが総合印刷だと思います。
高度な専門知識が必要になる、資格が必要とかは実は関係ないのです。ただ何も知らないよりは、就職前に業界のことを調べる事や、デザインで使用するソフトウェアのPhotoshop、Illustratorの勉強、資格取得に励むほうが、企業側も興味があり応募してきたと感じてくれることだと思います。
総合印刷デザインってどんな仕事するの!?
総合印刷は文字の通り、印刷出来るものであれば何でも制作していく仕事です。
印刷物の種類は沢山あり、制作の仕方は印刷物の種類により異なるが、ソフトの基本はIllustrator、Photoshopです。このソフトウェアがあれば、非常に沢山の種類の仕事が実は出来るのです。
この総合印刷では具体的にどのような仕事が出来るのか、一例をご紹介いたします。
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- 販促宣伝媒体系
- チラシ
- カタログ
- パンフレット
- リーフレット
- ポスター
- ダイレクトメール
- 案内状
- 招待状
- ラベル
- カード
- ステッカー
- 看板など
- 一般業務用品名刺
- 業務用封筒
- 業務用葉書
- 便箋
- 伝票
- カレンダー
- メモ帳
- 他社内資料など
- 業務用封筒
- 業務紹介媒体
- 入社案内
- 会社案内
- 学校案内
- 行政要覧
- 業務報告書
- 議事録
- 時刻表
- 料金表
- メニューなど
- 出版・刊行物
- 書籍
- 雑誌
- 新聞
- 広報誌
- 季刊誌
- 社内報など
- ノベルティ(名入れ関連)
- ボールペン・筆記類
- ディッシュ・タオル
- カレンダー
- 季節商材(マスク、カイロ)など
- 販促宣伝媒体系
日々色々と目にする印刷物から業務系で使用するもの等、幅広い仕事内容になります。このリストは一般的な印刷会社が行う仕事の一例です。リストをはじめてみられる方は、こんなにも沢山の種類があるのかと、驚くかと思います。
仕事をする上で、Illustrator、Photoshopは必ず使うため、就職前に学校や自宅でソフトウェアの使い方について、練習することが必要だと思います。
逆に言うとIllustrator、Photoshopを使う事ができれば、各品目のサイズ(何ミリ×何ミリ)、色数(1色なのか、2色なのか、フルカラーなのか)、印字・印面は片面なのか、両面なのかの違いになりますので、いろいろな仕事ができるようになります。
各品目ごとに他社制作実績や過去受注頂いたデータが会社に存在しますので、それらを参考に次をどのように制作したいのかは、お客様との打ち合わせ次第となります。
デザインの仕事は未経験でも、過去の実績データを参考にすることで、良いデザインを自分に取り込み、自分流にアレンジして提案できます。提案してその仕事が喜ばれたらとてもうれしいですし、次回の仕事へのモチベーションも上がり、やる気が出てきます。
ちょっとしたマメ知識!業界用語!印刷の色と印面について
総合印刷のデザイン現場では、4+1(よんぷらすいち)とか2+2(にーぷらすに)等の言葉が出てきます。業界に入る前に少し知識を入れてみましょう。
前項で色数と印字・印面は片面なのか、両面なのか、と言う部分がありましたが、仕事をする上でこれを「何+何」と言います。これだけ聞くと算数ですか?と思われますが、これは簡単に説明しますと「何+何」=「表面+裏面」と言う意味になります。
印面についてはこれでわかるけど、では色の表記はどのようにするのと思われるかもしれませんが、色の表記は数字で行います。1色は「1」、2色は「2」、4色は「4」と表記します。この色の数は、インクジェットプリンタ等のインクをイメージしていただくとわかりやすいと思います。
インクジェットプリンタでは安価なプリンタでも「シアン」「マゼンタ」「イエロー」「ブラック」があります。実はこの4色を掛け合わせると、フルカラーになります。印刷工場でも同じようにインキを使い「シアン」「マゼンタ」「イエロー」「ブラック」を使用して、フルカラー印刷を行います。
この4種類のインキのうち1つ使いますか?2つ使いますか?4つ使いますか?と言う考え方になります。ですので、使う数字は「1」「2」「4」が基本です。
「1」はどういう指定なのかと言いますと「シアン」のみとか「マゼンタ」のみの、1種類の指定を指します。「2」の指定は「シアン」と「マゼンタ」を使いますとか「マゼンタ」と「ブラック」を使いますと言う時に使います。
「4」は「シアン」「マゼンタ」「イエロー」「ブラック」を使います、と言う指定になります。これを組み合わせると、例えば「表面フルカラーで、裏面ブラック1色」を指定するには「4+1」と言う表記になります。
「表面にシアンとマゼンタで、裏面ブラック1色」を指定するには「2+1」と言う表記になります。印刷物で茶色のみとか、緑のみとか、見かけることもあるとは思いますが、この場合はどのようになるのかと言いますと、1色は1色でも絵の具を想像してみると分かりやすいと思います。
色んな色の絵の具があると思います。基本は「シアン」「マゼンタ」「イエロー」「ブラック」があり、それ以外でも、茶色や緑色といったインキをインキメーカーから買うことで1色を表現することができます。
2色は、たとえば単体の「シアン」と「マゼンタ」を使いますが「シアン」と「マゼンタ」を掛け合わせると、紺色に近い色になります。2色は掛け合わせ表現が可能になります。
ここまでで「3色」の説明がないと思われるかもしれませんが、3色は、2色の掛け合わせ表現と4色のフルカラー印刷の間に位置します。3色で色を掛け合わせるより4色でフルカラー表現する方が好まれますので、3色を使う事はまずありません。
また、印刷工場では3色を都合良く印刷できる機械がないことも上げられます。少しばかり業界の話になりましたが、お役に立てる情報であればうれしいです。
未経験でも職場で実践訓練!!その努力とは!?
デザイン未経験でも仕事は上達!その行動とは
デザインの仕事は凄く奥が深い、未経験の自分にはできないと思っていませんか。
実はそれは違います。デザインはデザインでも会社で制作した過去実績もあれば、世の中に色々な印刷物があります。それを参考にデザインに取り入れる事で、最初はスタートできます。最初から印刷物のデザインができる人はそんなにいないものです。
私の場合は、部門立ち上げと言った所からのスタートで、他の人とは少し違う環境にはいましたが、様々な場所で「これいいなぁ!」と思う印刷物は、私生活でも社員旅行先でもバッグに入れてコレクションかのように、ファイルに綴じて行きました。
他の良い所を取り込むには、自分で情報収集し、業種ごとでファイリングして行く事です。それらファイリングした情報がデザインする時の参考に必ずなります。
アドヴァイスは聞き入れて、スキルアップもスピードアップ!
職人気質のようになってしまうと、誰からのアドヴァイスも聞き入れなくなってしまいます。それはもったいないです。
勤務している会社の役員も、最初からなにもかも完璧にできる必要はないから、良い所は他から学び、参考として今している仕事の要素に取り入れなさいと、助言されました。簡単に言うと「良い事は真似をしてみなさい。」と言うことです。
デザイン以外でも様々な業種がありますが、最初からその道に詳しい人はいません。
自分の努力と周りからのアドヴァイスで、成長していきます。スポーツの世界でも同じだと思いませんか。例えば、野球でも有名選手が最初から野球が上手ではなく、日々の練習が終わっても、自主トレーニングで部屋の中でバットを振る練習をしたりして、努力をしてきた事が良い結果となり、有名選手になれると思うのです。
デザインでも、同じ事が言えます。
情報収集を行い、それを真似ることは自主トレーニングです。それを実践で使えるように日々の業務以外にも、時間があればIllustrator、Photoshopで表現の仕方を研究し、実際の仕事にいつか使えるように、何度もその効果の入れ方を練習するのです。
自分で収集したもの全てを出来るようにする必要はありませんが、過去の仕事で、ここがうまく表現出来なかった等あれば、収集した情報を元に部分的に研究していけばいいのです。
少しずつ実際の仕事に取り入れることで、デザインの表現が広がっていきます。未経験でも実践訓練を行う事で、自分の知識を増やせるし、その中で技術を体で覚えていけます。はじめは効果を入れる時に頭で考えながらソフトウェアの操作もしますが、少しずつ操作していること自体をあまり意識せずに操作出来るようになります。
その分、デザインの事に関して色々と考えることができますので、制作スピードもアップしていきます。是非、自己研鑽で喜ばれる仕事を目指して行きましょう。
デザイン経験がない!それは逆に業界入りのチャンス!?
出身校は関係ない!デザイン業界へ挑戦するには
学校で学んだことや今までの経験はデザイン系とは違うから、未経験の自分はデザイン系の仕事に応募するだけ無駄だと思っていませんか?
実は印刷関連のデザイナーさんは、未経験からのスタートも多いのです。
私自信も未経験スタートでしたが、今では人事や指導する立場も兼任しています。今まで100人程度は、指導を行ってきました。どのような方がいままで未経験からデザインスタッフとして就職できたのか、少しご紹介致します。
専門学校・大学生でデザイン系学科からの新卒採用
新卒からデザイン業界に入るには、一番競争が激しいかもしれません。
卒業時期がみな同じため何人も応募が来ます。デザイン系の募集の場合、人数が1〜2名程度で、何十人も採用するような企業は、ほとんどないのが実情です。
デザイン系への就職は意外に狭き門であることは私も感じます。デザイン系の就職を有利に進めるには学校で真面目に勉強して、デザイン系の資格取得や自分なりのポートフォリオを準備し、履歴書は空欄や記載間違いが無いようにしていくことで、狭き門も突破できる可能性が広がります。
面接の練習も学校で就職課の先生と行えば、企業側の初回選考で落ちる確率は減少するかと思います。
ここでのポイントは、面接時にありきたりな自己PRや志望動機(既に履歴書に書いている内容)は少しにして、自分はこの企業でどのような仕事を創造していきたいか、どのように会社を盛り上げて行きたいか等、入社後の将来(ビジョン)を話してみるといいでしょう。
この話をすることで、企業側も自社の事をよく考えて、自主的に行動できる人かもしれないと、感じ取って頂けるかもしれません。
意外にここまで準備できている人が少なく、準備ができればデザイン系出身でなくとも、未経験で選考入りできるチャンスです。実際の採用でも学部は様々な方を採用しています。
なぜそうなのかと言いますと、色んな人の考えがデザインにあって良いと私は思っていますので、幅広く採用を行っています。経験者が求められる業界ですが、新卒だからこその新しいデザインも期待しています。
たとえば経験者募集でも未経験だから遠慮するのではなく、問い合わせや面接で熱意や気持ちが伝わると企業側も人ですから、心が動かされることもあります。自分の積極的な行動が、実はデザイン系では成長していく最初のチャンスなのです。この業界に飛び込む努力があれば、実際の仕事の現場でもデザイン未経験でありながら、自分で努力できるのです。
きっと将来、クライアントに喜ばれる仕事ができることだと思います。
30〜50代の主婦は、頑張り屋さんが多い!
主婦の場合、それぞれ他の業界に勤められていて、結婚後退職もしくは、子供が生まれたことをきっかけに退職される方もいますし、夫の転勤や嫁ぎ先が地元を離れる等、人生の中でも比較的大きな出来事がきっかけで、転職を考えられる方も多いです。
色々な出来事に対応できる、女性ならではの対応力に期待される事があります。ただデザイン系の就職となりますと、気になるのが勤務時間です。
短くても大丈夫だろうかと、心配される方もきっと多いはずです。特に小さなお子さんがおられるご家庭では、保育園等の迎えの時間幅が決まっている場合もあります。実際に私が勤める会社では、まず何時間勤務できますか?と言う質問から始まります。
1時間から2時間ですと勤務は少し難しいかと思われます。せめて6時間〜8時間以内でと言う話から行います。
なぜこの時間なのかと言いますと、デザインを行う事はそれなりに時間もかかれば、企業に喜ばれる仕事をしようと考えると、考える時間がどうしても必要になります。
今では働き方も様々ですが出社して勤務する場合は、6時間〜8時間を考えておきましょう。もう少し短い時間で希望するには、一度勤務後、再度時間の調整を申し出てみるのも良いかと思います。
ご家庭の事もあることは企業側も承知ですので、相談した内容全てがダメになることはないかと思います。先ほど時間の調整と言いましたが、例えば勤務日での相談なども良いかもしれません。
少しお話しがそれてしまいましたが、私がいままで指導してきた方は、まず制作で使用するパソコンで、マッキントッシュにさわったことがない方がほとんどでした。でも、最終的には指導に沿って立派にデザイン制作スタッフとして活躍されてます。
働く時間に制限がある場合は、募集内容の時間よりも短い勤務になるから応募しないではなく、一度企業側に問い合わせて面談だけでもしていただけないか、聞いてみましょう。
日頃から一生懸命家庭の事でがんばっている方ですの、仕事でも努力される方は多いです。企業側も仕事の知識や技術だけを見ていません。
人の評価は「仕事50+人柄50=合計100」で判断していきます。
どんなに仕事が出来ても、横柄な態度や社内規則に従わない等がありますと、評価は最大50止まりです。そう考えると、最初はデザイン未経験のお仕事で評価0だったとしても、人柄である程度評価されれば、デザインの仕事もやっていく内に少しずつ評価があがっていくのです。
努力を日々続けることで、会社からの評価は上がっていきます。未経験からでも少しずつ成長することが楽しく感じられるように、自分で努力しましょう。
異業種からの飛込み!営業経験者
営業経験者からの未経験応募も少しあり、
面接で業種がまったく異なりますが、どういった経緯で、デザインスタッフを志望されるのですか?
とお聞きするとほとんどの方が、
新卒での就職活動でデザイン関連の仕事を探したが、当時募集が無く違う業種を選んで、就職しましたと回答されます。
確かにデザイン系の募集は、募集人数が少なくタイミングによっては、募集を見かけない事もあるかもしれません。他にも、当時学生の頃に思っていた仕事をやってみたい、とお聞きする事もあります。
この気持ちをお話しいただけるのは良いのですが、これで話が終わってしまいますと、人事担当からすると採用になりません。
その思いを時間を作って自分に何ができるのか、アピールするためのポートフォリオ作成を行いましょう。
一度企業に就職しているのですから、就職を希望する会社がどのような仕事を主にされているか調べ、実際仕事で制作されるであろうものを自作して持参すると良いでしょう。そうすると、企業側も「この人はやる気があるな」と思ってくれることだと思います。
思いを形にしてプレゼンを行う気持ちで、面接を受けるといいでしょう。
他にも、工場勤務経験者、キャスト勤務経験者、難聴身障者の方も指導してきました。みんなデザインスタッフとして活躍して会社を盛り上げてきてくれました。印刷関連のデザインは経験者だけの世界ではないのです。
今回のまとめ
- 印刷関連のデザイン未経験でも使うソフトウェアを使えるようになれば仕事ができる。
- デザイン未経験でも情報収集をし少しずつ実践に活かし就活する。
- デザインとは関係ない学校、就職でも比較的チャレンジしやすい就活である。
デザインと聞くと難しそうと、思われる方が多いのですが、実は未経験からのスタートも多いのが、印刷系のデザインの仕事です。
今ではフリーランスやSOHO等、働き方も様々です。それだけ需要があり、また取り組みやすい仕事なのかもしれません。
フリーランスやSOHOで取り組みやすい分、最初のスタートはソフトウェアの使い方から覚えていくため時間がかかるかもしれませんが、決して出来ない仕事ではないと私は思っています。
よくある勘違いとして「絵が描ける=デザイナー」ではありません。絵が描けることは特別なスキルですが、それがデザインとして必ずしも結びつくことはありません。
印刷関連のデザインは、基本的に企業を相手に仕事をしていくことが多いです。絵を描く事がデザインの全てではありません。
もちろん仕事の中でイラストやカット等、必要なシーンは沢山ありますがそれはそれでイラストレーターという仕事の分野になりますので、基本イラストレーターさんに手配することが通常です。
印刷デザインの仕事は、企業側が伝えたい内容をどのように上手く表現していくかが問われます。このように考えれば決して出来ない仕事ではないのです。
私の中ではデザインソリューションだと思っています。お客様にて出来ない事を、デザインスタッフが表現して、見た目良く伝わりやすいものを作り出す。とても良い仕事だと思っています。少しの勇気と行動が、皆さんの将来を変えます。
いままでデザイン系も考えたけど無理だと思ったとしても、やってみたいと思うのであれば、チャンスは十分にあります。明るい気持ちで就活の準備を行いましょう。